整形外科

当院整形外科には各種の慢性変性疾患の高齢の方からスポーツによる外傷の患者さんまで多種多様な患者さんがお見えになります。

専用の手術室を有していないために、手術が必要な状態の場合は近隣の急性期病院に治療をお願いしております。手術を要しないかまたは、希望されない患者さんに対しては投薬、注射、理学療法などを通しての治療に取り組んでおります。

膝、肩、腰、首の痛みなどに対して科学的で合理的な治療をご提案できるでしょう。
※担当曜日中島をご確認の上で御来院ください。

医師の紹介

中島 晶

中島 晶

担当回復期リハビリテーション病棟責任者
専門整形外科:脊椎外科
略歴平成4年鳥取大学卒業
認定日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
日本整形外科学会認定リウマチ医
医学博士
趣味登山・ダイビング・釣り
ひとこと平成20年春から木村病院に勤務しています。当院のリハビリの基本はとにかく動く事、歩く事。人間は動かなければ確実に身体機能が低下します私の趣味は登山なのですが最近は北アルプスにしばしば赴き3,000メートル峰を縦走しています。最近は「中高年登山」がブームですが3,000メートルの頂きに、とてつもない健脚の年配者と時に遭遇します。目標を登山にする必要はありませんが日々の運動こそが健康と幸福のための第一歩であることは疑いの余地がありません。私のお勧めは朝のテレビ体操と朝のウォーキングです。

診療時間のご案内

医師名受付時間診療時間
中島 晶8:30~12:309:00~13:00
16:00~18:3016:00~19:00
医師名受付時間診療時間
門司 貴文8:30~12:309:00~13:00
16:00~18:3016:00~19:00
医師名受付時間診療時間
代務医8:30~12:309:00~13:00
(第1・3週)
16:00~18:3016:00~19:00

整形外科の治療方針

関節リウマチ治療

「関節リウマチ」と診断を受けて「治らないんだ」と困惑割れている患者さんも多い事でしょう。関節リウマチという病気は体内の何らかの免疫学的異常を背景に関節の炎症が引き起こされる病気です。適切な治療がなされなった場合関節は変型し、徐々に日常生活が困難になる病気です。それゆえ以前は「慢性」関節リウマチといわれていました。この関節リウマチに対して従来はNSAIDs(エヌセイヅ)と言われるいわゆる痛み止めの薬、DMARDs(ディーマーズ)と言われる免疫機能を調整する薬、強力に炎症を消退させるステロイド剤などが投与されてきました。これらの薬は今でも勿論大変有用な治療薬ではあるのですが、「慢性」の名が示すように疾患を劇的によくする力はなかったのです。また副作用という点で言えばステロイド剤の使用では骨粗鬆症の誘発、免疫能力の低下などが確実であり、やむを得ない場合を除けば漫然と長期投与することはためらわれます。DMARDsといわれる薬のなかで現在もっても有効性が高く、副作用の発現頻度が相対的に低いのが「リウマトレックス」というお薬でしょう。もともとは抗ガン剤としてもちいられてきた薬です。これをリウマチ治療を目的に現在週に一度だけ内服する飲み方が普及しています。現在リウマチに対する内服治療薬の代表例で、上手につかえば大変有効性の高い薬といえるでしょう。しかしこのリウマトレックスだけではどうしても関節が壊れていくことをくい止められない患者さんが多いようです。

これに対して最近は「生物学的製剤」という薬が登場しています。これらの薬のメカニズムの説明は大変複雑になりますがリウマチを引き起こす物質を中和していると考えると分かりやすいと思います。比較的マイルドの弱い薬だけでリウマチがおとなしくなってくれる場合はそれでよいのですが、コントロールが難しい場合には早めにこの生物学的製剤の投与に踏み切ったほうが最新の研究結果をみますと良好な結果につながるようです。当院では主にレミケードという点滴で用いる生物学的製剤投与をおこなっています。患者さんの状態によって異なりますが概ね1ヶ月に一度か2ヶ月に1度の点滴で治療をおこないます。また、当院では現在比較的新しい免疫抑制剤であるタクロリムス(プログラフ)という薬も使用しています。この薬はもともと臓器移植に対する免疫抑制剤として開発されました。もちろん副作用が全くないわけではありませんので慎重な投与が必要でが、これを単独で、あるいは生物学的製剤と併用するなどして投与し比較的良好な経過を得ています。生物学的製剤は早期に用いる事で関節の破壊の進行を抑制できる、あるいはなかには寛解といって、薬を全て断ち切る状態にまで改善できる患者さんが現れてきています。少なくとも副作用の発現する可能性の高いステロイド剤やDMARDsの種類や量を減少させることができる可能性は高いでしょう。現在リウマチを患っておられる患者さんは一度是非ご相談にお越しください。

変形性膝関節症

変形性膝関節症とは膝の軟骨がすり減ることによって関節の炎症がしょうじ、膝が痛んだり膝の関節の動きがわるくなる疾患のことです。最近では盛んにテレビが「コンドロイチン」、「ヒアルロン酸」を宣伝するおかげ(?)で有名な疾患になってしまいました。 変形性関節症の本質は軟骨の障害であることはほぼ全ての学者のコンセンサスでしょう。では本当にテレビで盛んに宣伝している栄養食品は膝の変形性関節症に有効なのでしょうか?結論から申しますと現時点では有効性が確認された明確な研究は一つも無いということになります。勿論将来の各種の研究によっては有効性が認められる可能性は否定できませんが、殆どはマガイモノに近いようです。 では病院ではどんな治療ができるのでしょう。非常に大ざっぱに分類すると「1.内服薬」、「2.外用剤(湿布のこと)」、「3.装具(膝や足の裏に装着するサポーターの一種)」、「4.運動や温熱などのリハビリテーション」「5.関節へのヒアルロン酸の注射」、「6.関節洗浄あるいは人工関節置換術といった手術」、以上の6つが治療の全てになるでしょう。
このうち現実的には1〜5までは当院でおこなえる治療です。

  1. 内服薬は副作用を心配する患者さんもみえますが、最近の痛み止め系内服薬は大変副作用が少なくなっている上に、すぐれた胃の保護剤が存在するため極端に恐れる必要は無い状況です。
  2. 外用剤はカブレに注意が必要ですが、大きな副作用の危険は少ないといえます。しかし有効性は必ずしも定かではありません。
  3. 装具は患者さんの膝の「アライメント」と「不安定性」によって大きく有効性と必要性が変化します。これは診察をお受けになればすぐにわかることです。
  4. 運動や温熱などのリハビリテーションについては諸説ありますが、温熱や電気よりもまずは関節を伸ばすこと、そして筋力を鍛えることがきわめて重要です。どんなにすり減った軟骨でも筋力のしっかりした患者さんはさほど強い痛みを訴えません。
  5. 関節へのヒアルロン酸の注射は「痛いのでは?」と心配される患者さんが多くお見えですが基本的には針を刺す痛みのみですし、高濃度のヒアルロン酸を患部に直接とどける訳ですからかなりの効果が期待できます。いずれにしろ患者さんの医学的な状況によって治療方針が大きくことなってきます。お友達のすすめる健康食品で様子をみる前にどうぞ相談にお越しください。
骨粗鬆症治療

骨粗鬆症とは骨の密度が低下あるいは骨の質が脆弱になって骨折しやすくなったり、背中の痛みを訴える病態のことです。また骨折を機に骨粗鬆症に気付かれる患者さんも多数いらっしゃいます。さて当院での骨粗鬆症の診療ですがまずは骨密度とレントゲン検査をおこなっています。若年者に対して7割以下まで骨密度が低下すると骨折のリスクが高くなるといわれています。またすでにレントゲン写真にて脊椎の圧迫骨折などを有する患者さんは無治療であればさらに多くの脊椎の骨折が惹起されるといわれていますので、治療対象となってきます。治療の基本は内服薬です。「ビスフォスフォネート」と呼ばれる系統の内服薬が現在のところもっともすぐれた効果が期待されます。これは殆どが週に一度だけ内服する製剤であり、起床後空腹時に内服することが必要です。「ラロキシフェン」という女性ホルモンの一種の薬剤も殆ど副作用無く食後の内服でも効果が期待でき骨密度増加と骨折予防に有効性が証明されています。最も頻用される「ビスフォスフォネート」系薬剤は副作用として抜歯を含む歯科治療時に顎の骨の障害が発生すると言われています。しかし実際には口腔内の不衛生、癌治療による免疫力の低下、ビスフォスフォネートの中でも特に強力な注射剤の使用などが重なった際に起こりやすいようですので、よく整形外科医と相談することが大事でしょう。いずれに骨粗鬆症治療には一般の方が誤解していることも沢山あります。一度ご相談におこしください。